~どき☆どき チャリ通手引書のミスリードに騙されないぞい~

国土交通省から令和元年5月 自転車活用推進官民連携協議会自転車通勤導入に関する手引きが発表されました。

僕自身も、お客さんとかとの打ち合わせでスーツ着ないといけない日以外はチャリ通している身なので
この取り組みには賛成側の人間です。

で、くだんのpdfを見てみると、まぁいいことしか書いてない。
おっきいことちっちゃいことひっくるめて全部同じ粒度で。
一世代前の人たちとかお役所の方って特にそういう傾向あるけど、なんでもかんでも詰め込むといいものに見える偏光フィルター入ってるよね。

まあこの辺は拾い始めたらキリがないので、だいたいスルーしちゃうんですが、
ちょっとスルーしたくなかったのがこちら。

画像
国土交通省 自転車通勤導入に関する手引きより引用

めちゃくちゃ違和感あるー!

1.主観の違和感
  僕は圧倒的に自動車のほうが死亡率低いと思ってます。
  自転車のほうが圧倒的に死にやすい。

2.客観の違和感
  死亡事故数は「1/3」としつつも、「自転車乗用中の事故がとりわけ多いわけではない」としてある。
  なんで「自転車事故のほうが少ないからリスク減るよ!」って言わないのか。

こういう違和感あるデータに当たった時って、
大抵、はじめにストーリーがあって、それの都合の良いデータピックアップしてくるんだけど
適切なデータがなかったから、近しいデータを正しくない見方をさせてミスリードを誘って無理やりストーリーを成り立たせているときなんですよね(体験談)

お役所とか日経とか多いですよね(体験談)

というわけで、どこがいかんのか紐解いてみようと思います。



忙しい人の3行まとめ


・国土交通省が分布情報を伏せているため、各カテゴリの母数がパッと見分からずフラットに見えてしまうのが違和感その1。
・そもそもピックアップしているデータの、時間や移動距離がそろっていないので、それ正しく比較できてる?ってのが違和感その2。
・自転車用道路を整備してくださいー




違和感の正体

母数がそろってない。これにつきます。

くだんのグラフは、「人口10万人当たり状態別死者数の推移」としてあります。

これ、人口10万人あたりの「徒歩」「自動車」「二輪車」「自転車」の割合を伏せたままなので、
10万人のうち、何人が「徒歩」で事故死したのか、何人が「自動車」で事故死したのか、
母数が不明なんですよね。

極端な例で、10万人中の割合で、3万人が自動車、1000人が自転車だったとすると
事故死した人数が1/3でも、分母が30倍違うから、
事故死する確率だと、自転車が10倍危ないっていう計算になります。

このように適切な評価指標を使わないと、いとも簡単にミスリードを狙えます。


実際どんなもん?

くだんのpdfの図に出典が書いてあります。どうやら警察庁が公開している資料のようです。

ちょっと古いですがgoogle検索で、H29年度版が出てきましたので、まずはこちらを見てましょう。

画像
警察庁交通局 平成29年における交通死亡事故の特徴等について より引用


・・・ちゃんと分布データもついとるやないかーい!

やっぱりデータ隠してたんですね。もうー。

ちょっと字が小さいですが、H29年のデータで、自動車:自転車の割合を比べてみると、
10万に当たりの割合も、死亡人数も、ちょうど【自転車の2.5倍=自動車】になっているように見えますね。

自動車は33100人あたり0.96人死んでるので、死亡確率は0.002900[%]
自転車は13000人あたり0.38人死んでるので、死亡確率は0.002923[%]

となります。見事なまでにだいたい同じ数値に落ち着きましたね!
手引書の中で「自転車乗用中の事故がとりわけ多いわけではない」

と言ってたのは、おそらくこの結果を指して言ってるんじゃないかなーと予想してます。




かくして、2.の客観的な違和感の正体がつかむことができました。
わー、めでたしめでたしー! ぱちぱちー。ちゃちゃちゃん。

































・・・・いやいや。
まだ主観的な違和感がのこっとるわい。

ここまでの結論では、自動車も自転車もだいたい同じくらいの死にやすさとなりましたが、
僕は自転車のほうが圧倒的に危険で死にやすいと感じているのです。
圧倒的なのです。主観だけど自信持って言えます。

もう少し分析を続けます。


違和感の正体2

さて、前述のところでは「母数がそろっていない」ことが問題でしたが、
実はまだ母数がそろっていないところがあります。

「乗車時間」または「乗車距離」です。

乗っている時間が短かったら、相対的に死亡事故にあう確率が減るのは
何となく感覚として、確かにそうだとわかっていただけることと信じております(何

正直、死亡確率が乗車時間or乗車距離のどちらを利用するのが適切かは判断が割れるところです。
極端な話、まったく移動しなくても道路の真ん中に立っていれば交通事故にあう確率はあるので、
時間と事故確率に相関はありますが、移動距離と移動時間も強い相関があるので演繹的に距離と事故確率に相関があるとも言えます。
通勤手段の変更という観点からは、距離ベースで計算したほうが、母数にずれが生じないので、こちらのほうが適切のような気もします。

いずれも高い相関はありそうなので、
とりあえず、統計データ探してみて、先に見つかったほうにします。(雑)

この辺、雑な分析だけど、手引書よりは丁寧なのでご容赦ください。



データねぇぇぇぇ

とにかく自動車は腐るほどデータあるけど、自転車の平均乗車時間or平均乗車距離なんてデータが見つかんないので苦労しました。
ようやく探し当てたのが、内閣府のページにあったH22年の国民調査の結果
こいつで勘弁してくれぇ。
自転車利用者1人1日あたりの平均自転車移動距離は2.93kmとなる。

内閣府 H22国民アンケート調査結果より引用



自転車の移動距離のデータが一応見つかったので、自動車側のデータも探してみる。
たとえばこれ。自動車の使用実態 - 国土交通省

画像
国土交通省 自動車の使用実態 より引用


自転車の使用用途(生活&通勤通学)と揃えるために、「自家用乗用車」のデータを抜き出すのが多分適切です。

年間走行距離が10,575[km]だから、1日平均28.97[km]


2つのデータを比べてみると、だいたい移動距離は10倍違います。
ので「雑」ではありますが、自転車のほうが10倍死にやすいという結果になります。


また、時間ベースで比較する試みもやろうと思います。

参照元データなしなので恐縮ですが、仮に、自転車の信号待ちなどを踏まえた実質時速が10[km/h]、自動車のそれが20[km/h]と仮定すると、

自転車は1日あたり18分、自動車は1日当たり87分乗車している計算になるので
こちらの指標の場合は、自転車のほうが5倍近く死にやすいという結果になりました。




というわけで、国土交通省のデータのミスリードを防ぎ、実際はどんなもんよ?っていうところまで調査することに成功しました(雑ですが)

こういうお役所お役人の政策を成功させるための偏向ってマクロ的にみると国民に相応の恩恵がある政策である場合が多いので
(裏にあるかも知らん利権とかに目をつぶれば。あと濫用しない範囲で。)
まぁ必要悪だと割り切ってしまったほうが幸せかもしれません。

ただ保身のための隠ぺいや嘘情報、こーいうのはだめだ。第3者が被害をこうむるから。

なかなか難しいですが、自己防衛のためにも情報の本質を見抜けるようになりたいと思う今日この頃でした。



実はこれが言いたかった。

チャリ通推すなら自転車用道路整備してくれー。

今住んでる静岡県の浜松市は、なかなか自転車で車道を走ろうとすると危ないところが多いです。
浜松駅の周りの交差点とか、歩行者用の地下道はあるけど自転車用はないので、
・交通量の多い危ない交差点を通る
・1[km]くらい回り道して信号を渡る。
・チャリをかかえて階段を上り下りして地下道を行く(実話)
の3択です。

そんな中、自転車通勤のリスクは自動車と同じくらいだよーとか言われると、問題なしと思われて道路整備されませんよね。
それはちょっとあかんなーって思った次第です。




長文にお付き合いいただきありがとうございました。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック